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北海道ITレポート2003について〜平成15年度北海道情報処理産業実態調査結果〜

平成15年11月14日
経済産業省北海道経済産業局

<はじめに>
 平成15年度北海道情報処理産業実態調査結果によると、売上高及び従業員数とも微増ながら着実に伸びており、業種的にはソフトウェア業が、資本金規模別では5千万円超の道内企業が増加となっています。15年度売上高の見通しについても、低成長ながら引き続き堅調に推移するとの結果となっています。
 また、上場計画があると回答した企業は、14年度調査よりも大きく増加する一方、現下の経済状況を反映して時期を先延ばしにする傾向が現れています。
 一方、自社の経営課題として「営業力の弱さ」をあげる企業が約半数あり、対応策としては、内部人材を活用しビジネスプラン等の企画・提案力の向上を目指している、との回答が顕著に現れています。
 本調査は、道内の情報処理産業の実態を把握するために、調査票の郵送によるアンケート調査と企業からのヒアリング結果等を踏まえとりまとめました。
 なお、調査対象企業数は1,227社、有効回答企業数375社、回収率30.6%となっています。
<調査結果のポイント>
1.着実に増加する売上高
(1) 平成14年度の売上高は2,886億円(金額ベースで対前年104億円増)で前年比3.7%増加し、全業種の中でソフトウェア業だけが唯一売上を伸ばしている(前年比8.5%増)。
(2) 要因としては、得意分野への事業集中による新規顧客の開拓や携帯電話向け組込ソフトウェアの受注増、コンテンツ等の新規分野への進出による売上伸張があげられ、資本金別では、5千万円超の道内企業が増加となっている。
(3) 一方、15年度売上高見込は2,997億円(金額ベースで対前年111億円増)、前年比3.9%増加する見通しとなっている。

(業種別売上高推移)
業務別売上高推移

2.従業員数は6年連続で増加
(1) 平成14年度の従業員数は16,923人(人数ベースで対前年656人増)で、前年比4.0%増と6年連続の増加となっている。また、従業者数の約6割ソフトウェア業である。
(2) 雇用の不足感では、システムエンジニアが6割を超えているほか、プログラマや営業部門でも不足感の割合が高い。
(3) 企業の約6割は、道内で求人活動を実施しているが、一方で「採用したい人材がいない」との回答も2割程度ある。

3.道内企業の4割は研究開発型
 道内企業で売上高に占める研究開発費の割合が3%以上のいわゆる研究開発型企業の割合は42.9%にのぼり、道外本社事業所より18.7ポイント高くなっている。

売上高に占める研究開発割合(道内企業)

4.小規模事業者にとって厳しい資金調達
 資金調達は、全体的には「調達できている」が48.2%となっており、14年度調査よりも3.4ポイント改善しているが、一方で、資本金1千万円未満の企業の37.0%「運転資金の調達が難しい」と回答している。

(資金調達の状況)

調達できている 運転資金は調達できているが、
新たな事業展開のための資金
調達は難しい
運転資金の調達が難しい その他
全体 48.2%
(44.8%)
31.8%
(31.9%)
17.0%
(20.7%)
3.0%
(2.6%)
道内企業 45.0%
(43.0%)
34.3%
(33.3%)
18.7%
(21.7%)
2.0%
(2.0%)
うち資本金1千万円未満 26.0%
(17.5%)
37.0%
(39.7%)
37.0%
(41.3%)
0%
(1.5%)
注)( )内は、14年度調査実績

5.道内企業34社が上場を計画
(1) 上場の計画があると回答した道内企業は34社あり、うち25社ソフトウェア業であり、31社は札幌に所在する企業となっている。
(2) 上場時期については、3年以内に上場の予定と回答した企業が昨年調査の20社から10社へと半減していることから、現下の経済環境を踏まえ、時期を先延ばしする傾向となっており、また、資本金別上場予定企業数をみると、「資本金1千万円超5千万円以下」及び「資本金1億円超」割合が高くなっている。

(資本金別上場時期)

回答事業所 3年以内 3年〜5年以内 時期未定
上場予定企業数 34社 10社 7社 17社
資本金1千万円未満 1社 0社 0社 1社
資本金1千万円超5千万円以下 18社 4社 4社 10社
資本金5千万円超1億円以下 5社 2社 1社 2社
資本金1億円超 10社 4社 2社 4社

6.経営課題は「営業力の弱さ」
 道内企業及び道外本社事業所の多くが考えている経営課題は引き続き「営業力の弱さ」と「人材不足」である。
(15年度調査 経営課題上位5項目:全体)
1.営業力の弱さ
2.人材不足
3.受注単価低下
4.受注量減少
5.資金調達難
( 48.3% )
( 46.9% )
( 38.7% )
( 37.0% )
( 24.0% )
(14年度調査 経営課題上位5項目:全体)
1.営業力の弱さ
2.人材不足
3.受注量減少
4.受注単価低下
5.資金調達難
( 50.3% )
( 43.3% )
( 37.0% )
( 33.8% )
( 27.7% )

7.内部人材育成で営業力強化
(1) 経営課題とされる「営業力の弱さ」への対応策としては、道内企業及び道外本社事業所共に「内部人材の育成」、「企画(ビジネスプラン等)・提案力の向上」との回答が多い。
(2) 「営業力の弱さ」を新たな人材の確保ではなく、現在の従業員を社員教育・研修を通じてスキルアップさせ、企画・提案力を向上させることで対応する傾向が顕著となっている。

(営業力の弱さに対する対応策)

道内企業全体 内部人材の育成
(47.1%)
企画・提案力の向上
(41.2%)
新たな人材確保
(36.6%)
市場ニーズに基づく商品開発
(26.8%)
営業部門のアウトソーシング化
(21.6%)
資本金5千万円以下の道内企業 内部人材の育成
(47.2%)
企画・提案力の向上
(40.9%)
新たな人材確保
(38.6%)
市場ニーズに基づく商品開発
(29.1%)
営業部門のアウトソーシング化
(21.3%)
資本金5千万円超の道内企業 内部人材の育成
(46.2%)
企画・提案力の向上
(42.3%)
金融・商社・メーカーとのアライアンス
(38.5%)
新たな人材確保
(26.9%)
営業部門のアウトソーシング化
(21.3%)
道外本社事業所 内部人材の育成
(77.8%)
企画・提案力の向上
(66.7%)
新たな人材確保
(18.5%)
金融・商社・メーカーとのアライアンス
(14.8%)
市場ニーズに基づく商品開発
(11.1%)

8.多様化する国内企業連携
 道内企業においては、「業界団体との連携」、「業種横断的な連携」、「特定プロジェクトに関するアライアンス」が3割から4割の間で分散し、国内での企業連携が多様化している。

(企業連携の形態)

道内企業 業界団体との連携
(38.2%)
業種横断的な連携
(34.5%)
特定プロジェクトに関するアライアンス
(32.8%)
包括的な業務提携
(19.7%)
協同組合の設立
(10.5%)
道外本社事業所 業界団体との連携
(56.5%)
特定プロジェクトに関するアライアンス
(39.1%)
ライセンシング
(17.4%)
包括的な業務提携
(15.2%)
注1
注1)「業務横断的な連携」、「企業共同体(JV)の提携」が各13.0%

9.既に40社が海外企業と連携
(1) 道内企業及び道外本社事業所合わせて、既に40社が海外連携を実施しており、また、将来的に海外企業との連携を志向している企業も含めると全体の40%強が海外連携に前向きとなっている。

(海外連携意向企業数)

海外企業と既に連携している 今後、積極的に取り組むこととしている 興味はあるが近い将来のことではない 考えていない 合計
道内企業 31社 24社 56社 160社 271社
資本金5千万円以下の道内企業 21社 19社 45社 140社 225社
資本金5千万円超の道内企業 10社 5社 11社 20社 46社
道外本社事業所 9社 8社 6社 28社 51社
40社 32社 62社 188社 322社

(2) 既に海外企業と連携している連携先は、中国、米国、韓国、台湾の順となっており、海外連携を「今後、積極的に取り組む」と回答した企業では中国に次いで韓国が高い。
(3) 連携目的では、既に連携を行っている企業は、「海外製品・サービスの日本での展開」が5割以上となる一方、「今後、積極的に取り組む」と回答した企業は、「技術提携」や「自社製品・サービスの海外での展開」を目的とする割合が高くなっている。

(海外連携目的:本編表39を一部加工)

海外企業と既に連携していると回答した企業 海外製品・サービスの日本での展開
(52.9%)
技術提携
(29.4%)
自社製品・サービスの海外での展開
(29.4%)
共同研究開発
(29.4%)
うち道内企業 海外製品・サービスの日本での展開
(51.9%)
共同研究開発
(37.0%)
自社製品・サービスの海外での展開
(33.3%)
技術提携
(25.9%)
今後、積極的に取り組むと回答した企業 技術提携
(53.6%)
自社製品・サービスの海外での展開
(53.6%)
海外製品・サービスの日本での展開
(21.4%)
共同研究開発
(7.1%)
うち道内企業 自社製品・サービスの海外での展開
(56.5%)
技術提携
(52.2%)
海外製品・サービスの日本での展開
(26.1%)
共同研究開発
(8.7%)
<情報産業クラスターの更なる発展に向けて>
1.鈍化する売上高の伸び、厳しさを増すビジネス環境
(1) 道内の情報産業は、平成14年度で売上高2,886億円、従業員数16,923人の規模に達する一方、15年度の売上高見込みは、2,997億円と着実に増加している。
(2) しかしながら一方で、道内の情報産業を取り巻くビジネス環境は、【1】国内の景気低迷によるIT投資の抑制、【2】中国やインドを始めとするアジア諸国のIT企業の台頭、【3】更には大手ベンダーやメーカーの研究開発受託業務の減少や海外へのアウトソーシングの進展など、厳しさを増しており、これらを反映し売上高の伸び率は鈍化してきている。

2.売上高5億円、10億円の壁を突破しよう
(1) 道内企業313社の14年度売上高を規模別にみると、売上高5億円未満の企業が227社で、全体の72.5%を占め、次いで5億円以上10億円未満の企業が43社(同13.7%)と、売上高10億円未満の企業数が圧倒的に多くなっている。
(2) また、売上高を縦軸に従業員数を横軸に置き企業分布をみると、売上高5億円未満に大きく固まった分布が見られる一方、5億円以上10億円未満にも一つの層がある。
これを道内IT企業の成長段階と重ね合わせて考えた場合、売上高5億円に最初の成長の壁があり、次ぎに第2の壁として10億円の壁があることを示している。
(3) 道内IT企業の多くがこの売上高の壁を乗り越え、ベンチャー企業から成長企業へのパラダイム転換を期待したい。そのためには、これまでのベンチャー企業経営の失敗や成功の教訓を産学官で学習し、今後の成長企業としての戦略的マネジメントに活かしていくことが重要である。

北海道の情報処理産業の売上高・従業員規模分布(道内企業)
(注)30億円以上の企業16社はプロットされていない。

売上規模 〜5億円未満 5億円以上〜10億円未満 10億円以上〜20億円未満 20億円〜30億円未満 30億円以上 合計
企業数 227社 43社 19社 8社 16社 313社
割合 72.5% 13.7% 6.1% 2.6% 5.1% 100%

3.情報産業クラスターの形成に向けて
 転換期を迎えている道内情報産業が、今後とも成長・発展していくためには、個々の企業が企業の経営管理、いわゆるマネジメント力を高め、プロフェッショナル・マネジメント型企業へ移行していくことが求められており、当局においては、こうした企業の経営革新を後押しすると同時に、以下の6つの視点に立った政策展開を推進して参りたい。

(1) 活発なベンチャー企業創出
 より強い情報産業クラスターの形成には、新たな技術、製品・サービスを創造する独自のビジネスモデルを有するベンチャー企業の新規参入が引き続き不可欠であり、新事業創出促進法、最低資本金規制の特例等の各種公的支援制度の積極的な活用が求められる。

(2) 強みである技術力を活かした新事業の創出
 企業の成長には、常に新事業の創出へのチャレンジが求められ、受託業務から脱皮するためにも、自社の製品・サービスの開発が重要である。当局所掌の提案公募型技術開発事業の活用を始め、各種機関の技術開発支援ツールなどの積極的な活用が求められる。

(3) 高度IT人材の育成
 情報産業の成長には、優秀なIT技術者の存在が欠かせず、多様かつスキルの高いIT人材の育成を産学官で推進することが求められている。  道内では、本年4月、北海道大学で「ITトップガン人材育成寄附講座」がスタート、今後の人材輩出が期待される。一方、IT人材の共通枠組みである「ITスキル標準」の道内での普及、その活用を図っていくことも重要である。

(4) 事業拡大を促進するネットワークの形成
 ビジネス環境が厳しさを増す中、他の企業とアライアンスを組み、事業を展開していくことが重要となっている。当局では、14年5月に設立された産学官の人的ネットワーク形成とクラスター形成の推進組織である「北海道情報産業クラスター・フォーラム」の活動を通じて、ビジネスに結びつくネットワークの拡充、戦略的マーケティングを重点的に支援している。

(5) 選択と集中による新たなビジネス分野への挑戦と事業の再構築
 ビジネス環境の変化に対応できなくなった企業にあっては、新たなビジネス分野への挑戦など選択と集中による事業の再構築が必要であり、特に、オープンソース・ソフトウェア、バイオインフォマティクス、GIS(地理情報システム)、組込ソフトウェアなど今後の成長が期待される分野への挑戦が重要である。一方、事業の再構築に際しては、産業活力再生法中小企業再生支援協議会の支援スキームの活用も有効である。

(6) ユーザーへの提案型ビジネスなどIT利活用の促進
 大手ベンダー等からの受注に依存する道内情報産業では、ニーズを踏まえた商品開発、提案型のビジネスなどユーザーとの連携を軸とした独自のビジネスモデル作りが欠かせない。
 道内では(社)北海道IT推進協会が、食関連、観光などの5分野との連携を目指す「ITブリッジ会議」事業を展開する一方、新生Sapporo BIZCAFE B2においても、活動範囲を他業種との交流に広げた活動がスタートしており、活動の成果が期待される。
ダウンロード 北海道ITレポート2003〜平成15年度北海道情報処理産業実態調査結果〜(PDF/224KB)

北海道経済産業局 産業部 情報政策課
TEL 011-709-2311
(内線)2565
FAX 011-707-5324
E-mail hokkaido-joho@meti.go.jp


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