平成17年度北海道情報処理産業実態調査(調査対象数:1,190事業所、有効回答数:392事業所、回収率:32.9%)の結果をとりまとめたところ、北海道情報産業の16年度売上高は3,172億円と4年連続で増加する一方、従業員数は17,346人と前年横ばいとなりました。
これを道内製造業と比較すると、売上高は鉄鋼業に次ぐ第6位、従業員数では食料品製造業に次ぐ第2位の位置にあり、情報産業は主要産業の一つとして着実に成長を続けています。
一方で、引き続き同業他社などからの下請受注構造にあるほか、離職率が高く、システムエンジニア等の技術者不足が続くなど、業界として人材確保等の早急な取り組みが望まれます。
調査では、今回初めて今後の”成長戦略モデル”を聞いたところ、ユーザー対応重視のビジネスモデルを志向する企業が多いことが判明しました。
道内の情報産業には、株式上場を積極的に進め、企業連携を加速し、海外との結びつき連携を強めるとともに、専門性を養い、全国展開も視野に入れ、規模を拡大しレベルアップしていくことが期待されます。
《調査結果のポイント》
第I章 北海道情報産業の現状と課題
〜北海道情報産業の売上高、3,172億円と4年連続で増加〜
| (1) | 昨年の調査で初めて売上高3,000億円を突破した北海道の情報産業は、平成16年度売上高が3,172億円(前年比5.2%増)と4年連続で増加する一方、従業員数は17,346人と前年横ばいとなりました。【概観、第I章(1)】 平成16年工業統計調査(速報)により道内製造業と比較すると、売上高は工業出荷額3,464億円の鉄鋼業に次ぐ第6位にあり、全工業出荷額の6.0%を占める一方、従業員数は食料品製造業に次ぐ第2位の雇用規模となっています。【概観】 |
〜受託開発ソフトウェアの割合が高く、同業他社からの下請受注構造〜
| (2) | 地域別には、売上高、従業員数とも8割以上が札幌市に集積し、業務種別では、受託開発ソフトウェアの割合が高く、顧客別では、同業他社やコンピューターメーカーからの受託といった、いわゆる下請受注構造となっています。【第I章(4)(12)(13)】 |
〜営業部門を強化する一方、システムエンジニアなどの技術者不足〜
| (3) | 道内企業では、道外事業所を中心に営業部門の人員を増加させ営業力を強化する一方、離職率が高く、システムエンジニア(SE)やプログラマの不足感が高いことから、中途採用や業務の外部委託等で対応しているのが実態となっています。【第I章(15)(16)(17)】 |
| (4) | 北海道の情報産業がさらに成長・発展するには、優秀な人材の確保が必須であり、業界から情報系の工業高校、高専、専門学校、大学等の履修カリキュラムに、業界が求める技術スキル教育の導入を働きかけ、地域での人材育成・採用の仕組みを早急に確立することが望まれます。 他方、中国を始めとする海外諸国との連携による外国人技術者の活用も人材確保の一つの方策として考えられます。 |
第II章 北海道情報産業の戦略的成長に向けて
〜株式上場を積極的に進め、企業連携を加速し、戦略的海外連携でさらなる発展を〜
| (1) | 新規株式公開の計画をみると、道内企業38社が計画をもち、うち12社が3年以内に株式上場を予定しています。【第II章(1)】 資金調達の多様化、企業信用力の向上、人材確保の面からも、さらに多くの企業が上場を目指すことが期待されます。【第II章(2)】 |
| (2) | 企業連携についてみると、道内企業113社が既に実践しており、今後意向をもつ65社を合わせると約6割の企業が企業連携を実践・志向しています。【第II章(3)】 今後は、業務・技術提携から、合併・買収(M&A)、LLP又はLLCといった連携手法も積極的に検討し、実践することが期待されます。【第II章(4)】 |
| (3) | 海外連携についてみると、道内企業28社が既に実践する一方、今後意向をもつ企業も53社と多く、中国等への業務のアウトソーシングを中心に拡大しています。【第II章(5)(6)】 今後は、自社製品・サービスの海外展開など市場拡大を目指した連携を積極的に進めることが期待されます。【第II章(7)】 |
〜ユーザー対応重視の成長戦略モデルへ〜
| (4) | 今年のITレポートでは、今後の”成長戦略モデル”を企業自身に聞いてみたところ、「主として、特定のエンドユーザー向けにシステムを開発する」SI(システムインテグレーター)型を軸とするビジネスモデルを目指したい、とする企業が多数を占めました。【第II章(10)】 |
第III章 匠の技をもつエンドユーザー対応型企業
第III章では、”ユーザー対応重視の成長戦略モデル”の事例として、建設業に例えると、一戸建てを一社で造る工務店型(※1)や経験に裏打ちされた独特なノウ・ハウの蓄積を強みとする宮大工型(※2)といった企業を『匠の技をもつエンドユーザー対応型企業』として8社紹介しています。
道内企業の多くが、同業他社などからのいわゆる下請受注から、ユーザーとの直接的な連携、ニーズを踏まえた商品開発、提案型ビジネスへと脱皮することが期待されます。
| ※1 工務店型: | エンドユーザーのニーズを掘り起こし、システムを提案、構築、そして運用管理を実践する企業 |
| ※2 宮大工型: | 特定分野におけるマーケットリサーチを徹底的に行い、コンシューマ・法人向けのニーズにマッチした独特な製品・サービスを提供する企業 |
