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不正競争防止法

特許法や商標法等が客体に権利を付与するという方法(権利創設)により知的財産の保護を図るものであるのに対し、不正競争防止法は、「不正競争」に該当する行為を規制する方法(行為規制)により知的財産の保護を図るもので、営業秘密侵害や原産地偽装、コピー商品の販売など事業者がしてはならない一定の不正競争行為を禁止しています。

不正競争防止法の目的

不正競争防止法は、「事業者間の公正な競争」を確保することと、「国際約束の的確な実施」を確保することを直接的な目的とし、これにより、「国民経済の健全な発展に寄与すること」を最終的な目的としています。

事業者間の公正な競争の確保には、事業者の営業上の利益を保護するという私益の面と、公正な競争秩序を維持するという公益の面とがあります。また、不正競争防止法により実施すべき国際約束(条約)には、パリ条約、マドリッド協定などがあります。

知的財産法との関係

不正競争防止法は、「工業所有権の保護に関するパリ条約」を実施するために制定されたもので、知的財産法の一環と理解されています。
不正競争防止法では事業者間の公正な競争を阻害する行為を「不正競争」として類型化し、該当する行為を規制することにより知的財産を保護しています。

不正競争に該当する行為(例)

  • 他社の有名なロゴやマーク等を不正に使用する行為
  • 他人の商品の形態を模倣した商品を提供する行為(模倣品、デッドコピー)
  • 原産地、品質、用途、数量等の誤認をさせる表示をする行為
  • 搾取・詐欺・強迫その他不正の手段により営業秘密を取得する行為
  • 競争関係にある他人の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知、流布する行為

産業財産権との関係

不正競争防止法で規定している行為類型の中でも特に産業財産権※に関係が深いと思われる行為は以下のとおりです。
(※産業財産権:特許権、実用新案権、意匠権、商標権)

  • (1)周知な商品等表示の混同惹起行為(第2条第1項第1号)(混同惹起行為)
  • (2)著名な商品等表示の冒用行為(第2条第1項第2号)(著名表示冒用行為)
  • (3)他人の商品形態の模倣品の提供行為(第2条第1項第3号)(形態模倣行為)
  • (4)営業秘密の侵害行為(第2条第1項第4号~第9号)(営業秘密侵害行為)

(1) 周知な商品等表示の混同惹起行為(混同惹起行為)

他人の商品・営業の表示(商品等表示)として需要者の間に広く認識されているものを使用し、又は使用した商品を譲渡等し、その他人の商品・営業と混同を生じさせる行為をいいます。

※「周知」とは 需要者の間に広く認識されていること

判例(ウオークマン事件、千葉地判平8.4.17)

有名な表示である「ウオークマン」と同一の表示を看板等に使用するなど「有限会社ウォークマン」という商号として使用した業者に対し、その表示の使用禁止及び商号の抹消請求が認められた事件

(2) 著名な商品等表示の冒用行為(著名表示冒用行為)

他人の商品・営業の表示として著名なものを、自己の商品・営業の表示(商品等表示)として使用する行為をいいます。本号は、著名な表示については、混同の発生を要件とすることなく、冒用(無断で使用)する行為(顧客誘引力や良質感にただ乗りする行為、出所表示機能や良質感を希釈化する行為、良質感を汚染する行為など)を規制するものです。

※「著名」とは 全国的に知られていること
単に広く認識されている以上で「周知」より高いレベル

判例(アリナビッグ事件、大阪地判平11.9.16)

原告商品はその販売開始以来日本全国において多数販売され、その結果同種医薬品の代表的な商品となっていたこと等から、原告商品の商品名である原告表示(アリナミンA25)が著名であると認定した上で、被告商品の商品名である被告表示(アリナビッグA25)は原告表示と類似しているとして、被告表示の使用差止めと損害賠償を認めた事件

(3) 他人の商品形態の模倣品の提供行為(形態模倣行為)

他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為をいいます。

※「模倣」とは 他人の商品の形態に依拠し、実質的に同一の形態の商品を作り出すこと

判例(たまごっち事件、東京高判平10.7.16)

ヒット商品となっていたキーホルダー型液晶ゲーム機のデザインを模倣した商品を輸入・販売した業者に対し、商品の輸入・販売の差止め、商品の廃棄及び損害賠償が認められた事件

(4) 営業秘密の侵害行為(営業秘密侵害行為)

窃取、詐欺等の不正の手段によって営業秘密を取得し、自ら使用し、又は第三者に開示する行為等をいいます。

「営業秘密」とは、一般に「企業秘密」等と呼ばれる事業者の保有する情報(例えば、設計図、製造ノウハウ、顧客名簿、販売マニュアル等)のうち、

  1. (ア)秘密として管理されていること(秘密管理性)
  2. (イ)事業活動に有用な情報であること(有用性)
  3. (ウ)公然と知られていないこと(非公知性)

の三つの要件を全て満たすものです。(第2条第6項)

判例(男性用かつら顧客名簿事件、大阪地判平8.4.16)

勤めていた男性用かつらの販売会社を退職する際、同社の顧客名簿を無断でコピーし、これをもとに独立開業後顧客の獲得を行った業者に対し、不正に入手した顧客名簿のコピーの廃棄及び損害賠償を命じた事件(男性用かつら顧客名簿事件、大阪地判平8.4.16)

(5) 適用除外規定(第19条第1項)

(1)~(4)関連では、不正競争に対する規則(民事的措置及び刑事的措置)から、以下のものが除外されています。

  1. 商品及び営業の普通名称・慣用表示の普通に用いられる方法での使用(第19条第1項第1号)
  2. 事業活動に有用な情報であること(有用性)
  3. 公然と知られていないこと(非公知性)
  4. 日本国内で最初に販売された日から3年を経過した商品形態の模倣品の提供及び模倣商品の善意取得者による提供(第19条第1項第5号)
  5. 営業秘密を善意取得した場合に、契約等に基づき取得した権原の範囲内で使用・開示する行為(第19条第1項第6号)

(6) 産業財産権との比較

行為類型 保護対象 産業財産権との比較

(1) 混同惹起行為

他人の商品・営業の表示(商品等表示)として需要者の間に広く認識されているものを使用し、又は使用した商品を譲渡等し、その他人の商品・営業と混同を生じさせる行為
需要者の間で広く知られている商品等表示
  • 「商品等表示」は業務に係る氏名、商号、商標、標章や商品の容器・包装その他の商品又は営業を表示するもので、広い範囲をカバーできますが、周知性・著名性が必要です。
  • 「商標権」は指定区分の範囲でしか保護されません。

(2)著名表示冒用行為

他人の商品・営業の表示(商品等表示)として著名なものを、自己の商品・営業の表示として使用する行為
  • 顧客吸引力の不当な利用
  • ブランドイメージの汚染
  • ブランドイメージの希釈化
全国的に需要者以外にも知られている商品等表示

(3)形態模倣行為

他人の商品の形態を模倣する行為=模倣品、デッドコピー
商品形態、デザインなど
  • 「商品形態」は実質的に同一の形態でなければならず、保護対象が限定されます。
  • 保護期間が国内での最初の販売から3年以内に限られます。
  • 「意匠権」の効力は類似の形状にも及び、保護期間は20年です。登録までに時間がかかります。

(4)営業秘密の侵害行為

搾取・詐欺・強迫その他不正の手段により営業秘密を取得する行為
ノウハウ、技術情報など
  • 「営業秘密」は期間の定めなく保護されますが、営業秘密の要件を満たさないと保護対象となりません。
  • 「特許権」の保護期間は出願から20年です。技術情報を公開しなければなりません。登録までに時間がかかります。

【参考】不正競争防止法の体系

不正競争防止法の体系図:不正競争行為、国際約束に基づく禁止行為は直後に記載しています。また、民事的救済措置、刑事的措置についてはその後に記載しています
出展:不正競争防止法2013(経済産業省知的財産推進室)

下記は、図の内容を説明しています。

不正競争防止法で定義している不正競争行為

  1. 周知な商品等表示の混同惹起
  2. 著名な商品等表示の冒用
  3. 他人の商品形態を模倣する商品の提供
  4. 営業秘密の侵害
  5. 技術的制限手段を解除する装置等の提供
  6. ドメインネームの不正取得等
  7. 商品・サービスの原産地、品質等の誤認惹起表示
  8. 信用毀損行為
  9. 代理人等の商標冒用行為

国際約束に基づく禁止行為

  1. 外国国旗、紋章等の不正使用
  2. 国際機関の標章の不正使用
  3. 外国公務員への贈賄

民事的救済措置

民事的救済措置へ

刑事的措置

刑事的措置(第21条、第22条)へ

刑事的措置

営業秘密の内容を保護するための刑事訴訟手続の特例(営業秘密の内容を言い換え、公判期日外での尋問等)

民事的救済措置

不正競争行為に対する主な民事的な救済措置としては、以下の措置があります。

  • 差止請求(第3条)
  • 損害賠償請求(第4条)
  • 信用回復措置請求(第14条)

刑事的措置(第21条、第22条)

不正競争防止法は、事業者の営業上の利益という私益と、公正な競争秩序の維持という公益を保護法益としており、その実現手段としては、民事的救済措置に掲げた当事者間の差止請求、損害賠償請求等の民事請求を基本としつつ、公益の侵害の程度が著しく、当事者間の民事的請求にのみ委ねられることが妥当でない行為類型については刑事罰の対象としています。

【第21条第1項関係】営業秘密侵害罪の類型

以下の侵害罪については、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこれの併料が規定されています。(1号~7号まで、7つの類型を規定)

  1. (1号) 図利加害目的で、詐欺等行為又は管理侵害行為によって、営業秘密を不正に取得する行為
  2. (2号) 不正に取得した営業秘密を、図利加害目的で、使用又は開示する行為
  3. (3号) 営業秘密を保有者から示された者が、図利加害目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、(イ)媒体等の横領、(ロ)複製の作成、(ハ)消去義務違反+仮装、のいずれかの方法により営業秘密を領得する行為
  4. (4号) 営業秘密を保有者から示された者が、第3号の方法によって領得した営業秘密を、図利加害目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、使用又は開示する行為
  5. (5号) 営業秘密を保有者から示された現職の役員又は従業者が、図利加害目的で、その営業秘密の管理に係る任務に背き、営業秘密を使用又は開示する行為
  6. (6号) 営業秘密を保有者から示された退職者が、図利加害目的で、在職中に、その営業秘密の管理に係る任務に背いて営業秘密の開示の申込みをし、又はその営業秘密の使用若しくは開示について請託を受け、退職後に使用又は開示する行為
  7. (7号) 図利加害目的で、(2号)、(4号)、(5号)、(6号)の罪に当たる開示によって取得した営業秘密を、使用又は開示する行為

【参考】営業秘密侵害罪の類型

営業秘密侵害罪の類型(第21条第1項)の説明図:詳細は直前に記載しています。
出展 経済産業省HP「不正競争防止法の概要と改正」

※営業秘密侵害罪には、すべて図利加害目的(不正の利益を得る目的又は営業秘密の保有者に損害を加える目的)が必要です。このことにより、内部告発目的等をもってなされる正当な行為は、構成要件に該当しないことになります。

【第21条第2項関係】その他の侵害罪

以下の侵害罪については、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれの併料が規定されています。

  • (1) 不正の目的をもって行う周知表示混同惹起行為(第2条第1項第1号)、誤認惹起行為(第2条第1項第13号)
  • (2) 他人の著名な商品等表示に係る信用・名声を利用して不正の利益を得る目的又は当該信用・名声を害する目的で当該著名商品等表示を冒用する行為(第2条第1項第2号)
  • (3) 不正の利益を得る目的で他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為(第2条第1項第3号)

関税法に基づく水際措置

関税法では、不正競争防止法に規定されている

  1. 周知な商品等表示の混同惹起行為(混同惹起行為)
  2. 著名な商品等表示の冒用行為(著名表示冒用行為)
  3. 他人の商品形態の模倣品の提供行為(形態模倣行為)

等を組成する物品等を、輸入してはならない貨物及び輸出してはならない貨物としており、税関での取締りが可能です。
<参考>関税法(昭和29年法律第61号)
不正競争防止法(経済産業省)(外部リンク)

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