北海道大学白土教授らによる低侵襲がん治療に係る新ガイドラインをIECが発行

~ 北海道大学発 安全ながん治療システムの普及が加速 ~

2019年6月25日
経済産業省北海道経済産業局

 経済産業省北海道経済産業局では、北海道内の大学・企業等の医工連携関連の研究開発助成や国際標準を目指した活動を支援しています。
 このたび、北海道大学白土教授を中心としたグループが提案した安全ながん治療システムに関するガイドラインが、2019年5月20日にIECテクニカルレポートとして正式発行されました。
 当局は、これを契機に、同治療システムが国際的に普及し、標準化が早期に実現するとともに、道内医療機器メーカーや道内ものづくり企業・IT企業等の飛躍のきっかけとなることを期待し、医工連携関連の取組を支援していきます。

プロジェクト概要

 経済産業省では、「戦略的国際標準化加速事業」により、呼吸などによって動いているがんを狙い撃ちできる放射線治療(4次元放射線治療)技術の安全性に関わる標準化を中心に、X線・陽子・重粒子線治療関係の国際標準獲得について2011年から継続して支援を行っています。
 また、これまでのがん放射線治療装置の開発について、当局職員の派遣や研究費助成により⽀援を行い、2014年には世界初の「分⼦追跡陽⼦線治療装置」が完成し、北海道大学病院に「陽⼦線治療センター」がオープンしました。

今後の展望

 第4次産業革命の時代を迎え、ルール形成を通じた市場開拓・拡大やイノベーションの成果を社会実装するために、標準化の戦略的な推進が極めて重要になっています。
 世界的ながん患者の増大により、呼吸等でがん細胞の位置が動く場合でも、⾼精度かつ安全に、がん細胞だけに治療放射線を照射可能な放射線治療システムの運⽤が望まれており、2018年10月に実施された国際投票で有効投票数100%の賛成を得て正式発行された今回のガイドラインは、北大白土教授・平田准教授らが中心となって推進してきたがん治療システムの国際的な普及と安全ながん治療の進展を加速するものです。
 また、このシステムは、日本のエキスパート(日本画像医療システム工業会(JIRA)、放射線治療機器メーカー、研究機関等が参加・協力するプロジェクトチーム)が海外の大学や道内外の企業と協力し新ガイドラインの発行に至ったもので、最終目標である国際標準化の取得や安全ながん治療の普及が大きく前進し、国内医療機器関連産業の課題である輸入過多の改善に寄与するとともに、「北海道医療機器関連産業ネットワーク」に参画する道内医療機器メーカーや道内ものづくり企業・IT企業等の飛躍のきっかけとなることを期待します。

 詳細は、以下のウェブサイトをご覧ください。

参考

※IEC(International Electrotechnical Commission)(国際電気標準会議)
電気及び電子技術分野の国際規格の作成を行う国際標準化機関。
※IECテクニカルレポート
(IEC/TR 62926 Edition 1.0, Medical electrical system - Guidelines for safe integration and operation of adaptive external-beam radiotherapy systems for real-time adaptive radiotherapy(医⽤電気システム - リアルタイム適合放射線治療のための適合外部ビーム放射線治療システムの安全な構築とオペレーションのためのガイドライン))

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