年頭所感
経済産業省北海道経済産業局
経済産業省北海道経済産業局長 浦田 秀行
令和8年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、大阪・関西万博において累計2,900万人の方々にご来場いただき大きな成功をおさめることができました。また、賃上げや国内投資が約30年ぶりの高水準となり、名目GDPも600兆円の大台を超えるなど、日本経済にとって明るい兆しが現れた年となりました。
世界の動きに目を向けると、米国の関税措置や、米・中・欧をはじめとした各国による自国優先の大規模な産業政策が展開され、既存の国際秩序に大きな揺らぎが生じています。
一方、国内においては、国際情勢の緊迫化による不確実性の高まりや、円安の進行、人口減少による人手不足の深刻化、そして、エネルギーや物価の高騰による経営コストの増加が、日本経済に大きな影響を及ぼしており、まさに今、日本は「成長型経済」に移行できるかどうかの分岐点に立っています。
政府においては、大胆な投資促進策とインフラ整備を一体的に講ずることで、地方に大規模な投資を呼び込み、地域ごとに産業クラスターを形成するとともに、地域発で世界をリードする技術やビジネスを創出し、地域を超えて活躍する企業を生み出すことを通じて、自立的かつ持続的に稼げる地方経済を作り出していくことを、「地域未来戦略」として推進することとしております。
北海道では、次世代半導体の製造拠点となるRapidus社が2027年の量産開始に向けてパイロットラインの稼働を開始するとともに、全国屈指のポテンシャルを有する再生可能エネルギーに関する施設や産業の集積に向けた動きが加速しており、さらには大樹町において商業宇宙港の整備が進展するなど、明治以降形成されてきた北海道の産業構造を民間主導に大きく転換するチャンスが到来しています。
北海道経済産業局では、これらを北海道が飛躍し発展するための絶好の機会と捉え、我が国及び北海道経済の成長に貢献するための未来戦略を描きながら、以下の取組を力強く実行して参ります。
まず、我が国の経済安全保障を支える次世代半導体、宇宙産業等の戦略分野を起点とした製造業の高度化・裾野拡大です。半導体やデジタル、宇宙人材の育成・確保、関連産業の集積・取引活性化に向けたこれまでの支援に加え、製造業大手や大学・高専等と連携した道内ものづくり企業の技術力向上に向けた取組等を新たに開始し、道内製造業のサプライチェーンの強化を図ります。また、AI等の先端技術の社会実装を進める上で鍵となるスタートアップへの支援や産学連携の推進に取り組みます。
第二に、我が国のエネルギー安定供給を支える政策の推進です。次世代半導体やデータセンターなど新たな電力需要に対応するためには、徹底した省エネルギーに加え、再生可能エネルギーや原子力などの脱炭素電源を最大限活用することが必要不可欠です。北海道が日本の脱炭素エネルギーの供給基地となるべく、洋上風力や地熱など地域と共生した再生可能エネルギーの導入拡大を図るとともに、特に洋上風力においては、エネルギー供給を支える関連企業の誘致や道内企業の参入拡大を通じたサプライチェーンの構築に向けた取組を強力に支援します。加えて、GX(グリーントランスフォーメーション)の実現に向け、水素・アンモニアの活用を推進するとともに、CCS(Carbon Capture and Storage)についても早期事業化に向けた環境整備に取り組みます。また、新規制基準に適合すると認められ、地元の同意を得られた泊発電所については、安全性の確保を大前提に地域の実情を踏まえながら丁寧に再稼働を進めます。寿都町と神恵内村において文献調査が行われた高レベル放射性廃棄物の最終処分は、必ず解決しなければならない国家的課題であり、皆様のご理解とご協力が得られるよう、取組を進めて参ります。
第三に、地域の強みや地域を支える企業の力を生かした地域振興です。食と観光が北海道の基幹産業としての輝きをさらに増していくため、食品製造業の生産性向上や高付加価値化、食・1次産業分野におけるバイオものづくりの推進に取り組むほか、成長を目指す地域の皆様とともに、経済産業省のあらゆる政策を総動員し、観光資源を生かした地域産業の活性化に向けた取組を開始します。さらに、地域経済を牽引する中堅企業の成長投資、地域経済の原動力である中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」を高める省力化投資、販路開拓、デジタル化等を支援するとともに、円滑な事業承継、若手後継者(アトツギ)支援を通じた経営力向上、資金繰り・事業再生支援に取り組みます。また、賃上げに向けた原資の確保に資する価格転嫁対策・取引適正化の推進に徹底的に取り組みます。加えて、広大な北海道における物流やガソリンスタンド等のエッセンシャルサービスの事業継続に向けた支援や、消費者の利益を守る製品安全確保や悪質商法対策を通じて、人々の生活や地域の基幹産業・経済活動の基盤を支えて参ります。
関係者の皆様とともに、経済の好循環による「強い北海道経済」を実現し、民間主導の新たな経済構造の確立に向けて職務に邁進いたしますので、より一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
結びに、本年が皆様にとって実りの多い飛躍の年となりますよう、心から祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。
