展示会で買った着物を解約したい

 半年ほど前に着物のショールを購入したことがある販売店から、イベントスペースで行われる着物の展示販売の案内状が届いた。数日後、その販売店で仕事をしている知人が来訪し、案内のあった展示会に誘われたので、見るだけのつもりで出向くことにした。
 当日、着物を羽織らされ購入を勧められたが、断ると6人くらいの販売員に囲まれ、「特別サービスで68万円のところ18万円値引きする。」、「更に今契約すると48万円の帯を付ける。」としつこく勧められ、冷静さを失い契約してしまった。
 2日後に解約したいと申し出たところ、加工に出したので解約できないと断られた。クーリング・オフは可能か。

アドバイス

 「一定の期間にわたり、商品を陳列し、当該商品を販売する場所であって、店舗に類するもの」で行われる取引は、通常の店舗での商取引として取扱い、クーリング・オフ等の規制の対象外となります。
 本事例にあるようなイベントスペースでの展示販売は、一見、この条件に合致し、クーリング・オフの対象外と思われます。しかしここでいう「陳列し」とは、消費者が自由に商品を選択できる状態でなければなりません。販売員が消費者を取り囲んだり、高額商品等の特定の商品についてのみ繰り返し勧誘をするなど、陳列された商品を自由に選ばせることなく勧誘する行為があれば、「通常の店舗」での取引と言えません。
 したがって、訪問販売としての契約に関する書面を受け取ってから8日間は、書面によるクーリング・オフが可能です。クーリング・オフ期間は、契約や支払が終わっていても無条件で契約解除が可能であり、本事例のように業者は加工を始めていたとしてもそれを理由に解約を拒むことはできません。

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