実用新案制度

    わが国では、特許法のほかに実用新案法というものがあります。 特許制度は技術的に高度な発明を保護の対象としていますが、日用品や玩具のような分野では、ちょっとした工夫を加えただけでヒット商品になるようなものがあります。 このような必ずしも技術的に高度ではない小発明ともいうべき「考案」を保護するために設けられているのが実用新案制度です。

  • 実用新案法の保護対象

    実用新案法では、保護の対象を「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」に限定しています。 このため、特許法では保護される「方法」や「材料」のようなものは実用新案の保護対象となりません。

    • 物品の形状に係る考案

      「形状」とは、外部から観察できる物品の形状をいい、例えば、六角断面形状を有する鉛筆や紡錘形状の歯形を有する歯車のようなものがこれに当たります。

    • 物品の構造に係る考案

      「構造」とは、物品の機械的構造を意味し、化合物の結晶構造のようなものをふくみません。例えば、吸殻投入凹部および火消し水溜部を設けた灰皿などがこれに当たります。

    • 物品の組合せに係る考案

      「組合せ」とは、単独の物品を組み合わせて使用価値を生み出したもので、例えばラジカセや釘抜きハンマーのようなものがこれに当たります。

  • 無審査制度

    特許制度では、先行技術調査を行い、発明の新規性及び進歩性や明細書の記載不備など特許要件について厳格に審査してから特許を付与する審査制度を採用し、 権利の安定性を追求しています。これに対して、実用新案制度では、早期登録の観点から形式的な審査のみを行う無審査主義を採用しています。

  • 実用新案制度と特許制度のちがい

    特許 実用新案
    保護対象 発明
    (自然法則を利用した技術的
    思想創作のうち高度のもの)
    考案
    (自然法則を利用した技術的思考の創作で物品の形状、構造又は組合せに係る考案に限る)
    出願手続 図面は必要なときのみ添付 図面は必ず添付
    実体審査 実体審査あり 無審査
    権利存続期間 出願日から20年 出願日から10年
    出願時費用 出願手数料
    14,000円
    出願手数料14,000円
    登録料(3年分)6,600円
    合計20,600円
    ※請求項が1つの場合で計算
    ※登録料は3年分一括納付
    登録時費用 特許料(3年分一括納付)
    (4,300円+1請求項につき300円)×3
    出願時に3年分一括納付
    その他の費用 出願審査請求手数料
    138,000円+1請求項につき4,000円
    実用新案技術評価の請求手数料
    42,000円+1請求項につき1,000円

    *2022年4月1日現在の料金です。

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